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人間の健康には食物が大切ですが、最近、化学肥料や農薬をできるだけ使わないオーガニックな食物が注目を集めています。
麻は日本では縄文時代から栽培され、衣服や日用品、食用などに使われてきたのですが、この麻こそ、もっともオーガニック栽培に適した植物で、しかも現代日本の多くの問題を解決する力をもっているのです。
1)麻がオーガニック栽培に適している理由
1.ほとんど肥料を必要としない。
連作をいとわないどころか、葉はそのまま翌年の肥料となる。現在、北海道では毎年110万本近い麻を伐採しているが、どんなに伐採しても翌年には必ず自然に生えてくる。これは麻が強くて肥料や農薬が不要であることの証明といえる。麻は肥沃な土地よりも、やせた土地を好むため、土壌改良に利用されることもあった。
麻の種を油に搾ったあとのカスは有機肥料にできる(肥料検定済)。
2.殺虫剤が不要。
麻はほかの作物を栽培している畑のあぜに植えて、害虫が畑に入らないようにするのに利用されてきたほどで、防虫作用がある。中国などでも同様の利用の仕方をしてきたようで、日本でも中国でも「麻に肥料をやる農民はいない」。
3.除草剤も不要。
麻は成長がはやく、ほかの雑草によって日照がさえぎられることがないため、特に除草剤は必要ではないが、麻そのものにも除草作用があることが昔から言われている。最近の研究では「麻に含まれるTHCがほかの雑草の細胞死をもたらす」という報告がある。
これらは長く農民によって実感されてきたことである。
※麻は狭い裏庭にでも栽培できるので、身土不二の究極のマクロビオティック食材にもなりえる。次に、麻がどんなに農薬が不要でオーガニック栽培に適した植物だといっても、食としての栄養価が低ければ、意味はありません。
2)麻の実の栄養価
1.豊富な植物性タンパク質
畑の肉といわれる大豆と同じぐらい(35%程度)のタンパク質を含有する。大豆にはタンパク質の吸収を阻害するトリプシン・インヒビターが含まれていて、タンパク質の消化吸収が妨げられるという欠点があるが、麻のタンパク質はエデスティン・タンパクと呼ばれ、血漿成分に近いアルブミン型で、消化吸収にすぐれている。また、大豆にはアレルギー物質が含まれているが、麻には含まれていない。
麻のタンパク質には、すべての必須アミノ酸がバランスよく含まれている。
2.必須脂肪酸が理想的バランスで
麻の油には人が食の形で摂取しなければならない必須脂肪酸が80%以上含まれているが、この含有率はすべての自然の油のなかでもっとも多く、特にリノール酸(n-6系)とα・リノレン酸(n-3系)のバランスが厚生労働省が推奨する4対1に近い割合で含まれている。この2種の必須脂肪酸はバランスが重要なのだが、この割合にもっとも近いのが自然界の油では麻の油である。麻の油のα・リノレン酸は、頭にいいと言われている魚の油と同成分のEPA、DHAに変化する。
3.鉄、銅、亜鉛などのミネラルが豊富
厚生労働省の最近の調査によれば、現代日本人はカロリーは足りているが、鉄、銅、亜鉛の3種のミネラルが不足しているということである。麻は玄米、大豆、そばやほかの食品と比較して、これらのミネラルを豊富に含んでいる。その他、食物繊維も豊富。炭水化物は少ないが、炭水化物は米などほかの穀物から簡単に摂取できる。
3)食生活と社会問題と大麻
「食生活と健康」に関して、現代日本は、1.成人病の増加 2.肥満 3.高齢化 4.アレルギー などの社会問題を抱えている。これらの治療にかかる医療費は増える一方である。
日本人が肉類、脂肪の多い欧米型の食事をするようになってから、それまでなかった病気が増えてきたといわれている。玄米と麻、魚を中心とする食事をすれば、社会問題となっているこれらの病気を予防することができ、増える一方の医療費を削減することが可能となる。
1.成人病予防
麻の油に含まれるα・リノレン酸は血液をやわらかくサラサラにし、それにより、動脈硬化や心臓病、脳梗塞を防ぐ。細胞の原料となる必須脂肪酸が多く含まれるので、病気に対する免疫力が高くなる。
2.肥満防止・ダイエットに
肥満は糖尿、心臓病など多くの病気の原因になっている。
ダイエットするには動物性タンパク質と脂肪の摂取量を減らさねばならないが、タンパク質と必須脂肪酸は人体に欠かせない。これを麻の植物性タンパク質とバランスのいい必須脂肪酸で補うことができる。またビタミン、ミネラルも多く含まれていて、バランスよくダイエットできる。
麻の実の必須アミノ酸は筋肉をつくり、アミノ酸(タンパク)ダイエットに利用できるほか、炭水化物が少ないので低インシュリン・ダイエットにも利用できる。また、麻の食事は比較的少量で満腹感を得られる。
3.老人食として
高齢者はお粥などのあっさりしたものを好む傾向がある。このため、炭水化物が多くなり、タンパク質が不足する。玄米に麻を加えることにより、炭水化物、タンパク質、必須脂肪酸、ミネラル、ビタミンがバランスよく摂れる。麻はノン・コレステロールである。麻は長寿食とのレポートもある。
4.アレルギー
卵、牛乳、大豆、青身魚にはアレルギー物質が含まれるが、麻の実には含まれない。これらのタンパク質の代替として、麻の実を回転食に利用することができる。子供のアトピーには麻に多く含まれるα・リノレン酸が効果的という説もある。子供の成長に必要な必須アミノ酸であるヒスチジンが多く含まれているため、子供の食生活改善にも有効。
5.便秘解消と美しいお肌
女性の大半は便秘に悩むと言われるが、麻は漢方では緩下剤として用いられてきた。麻に含まれるγ(ガンマ)・リノレン酸には美肌効果もある。
4)麻と食糧・環境問題
日本の食糧自給率は40%台、穀物にいたっては20%台である。アメリカをはじめとする多くの欧米諸国は自給率100%で、食糧の輸出国も多い。日本の農業人口は3%余りで、その多くが60歳以上と高齢化してきている。食糧はエネルギーとともに、国民生活に非常に重要である。これまでみてきたように、麻は日本人の主要な栄養源となりうるが、農業として経済的に成立しえなければ、社会を支えることはできない。
残念ながら、日本では麻の実は食糧としてほとんど流通していないので、収量、流通価格など、農業として成立しうるかどうかは現状でははかれない。
しかし、麻は天然の原料として、多くの製品になることから、社会全体から見れば採算がとれる。食糧としての麻の実は、石油よりコストの低い無公害燃料となり、そのかすは有機肥料となる。種や繊維をとった後の茎は、紙(パルプ含有量が高い)、建材(紙とともに、森林伐採防止から温暖化防止につながる)、バイオマスエネルギーとなり、花穂や葉は有機飼料や医薬品になるなど、その製品の多様性は石油製品に匹敵する。しかし、これらは限りある化石資源ではなく、毎年栽培できる麻という天然資源から作られるため持続可能である。麻は栽培にあたって、化学肥料・農薬を必要としない環境負荷のかからない植物であるが、同時に環境問題を解決する力をもっており、空気中の二酸化炭素を固定するなど、循環型社会をつくるうえで欠かすことができない植物資源である。
現在は麻の栽培は法的規制などのためコストが高くなり、商品として成立しにくいが、社会の多くの分野で麻が利用されれば、コストが低くなり、商品性が高くなる。また、社会全体にかかる総コストが削減されるため、生活が豊かになる。
エコロジーの主張では、代替となる資源やエネルギーを提示できないので、不便さを強制されるのではないかという印象を与える。(少しぐらい不便でも地球環境のことを考えようというより、便利で快適な今の生活を続けたいという人は多い。)しかし、麻を利用すれば今の便利さをそのまま継続できるのである。
5)課題
麻にとっての問題点は、法によって麻の栽培が厳しく規制されているということである。麻の栽培には許可が必要だが、許可基準は異常に厳しい。
食と健康と社会に変革をもたらす力と可能性をもった植物である麻に関して、少しづつではあるが、社会が理解しはじめたところである。農民が食用の麻の種子を栽培し、流通経路に乗せられるようになるのも、それほど遠いことではないだろう。
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