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○ アメリカ農務省に謎のピラミッドが
2003年7月16日号のニューズウィーク日本版に、驚くべき記事が掲載されている。「アメリカでは全人口の61%が肥満者だが、これはアメリカ政府農務省が10年前に公表した食品情報が誤っていたことからきている」ことが明らかになった。 最近、公表された農務省のウォルター・ウィレット著「太らない、病気にならない、おいしいダイエット」によれば、「精白された小麦や米などの穀物をできるだけ控え、全粒穀物に代えること」、そして意外なことに「植物油をほぼ毎食摂ること」を薦めている。またできるだけ野菜を食べ、蛋白源としては肉や卵ではなく、豆やナッツ類の方がいいとしている。わずか10年前、米農務省は「脂肪を控え、炭水化物つまり穀物でエネルギーを補給する」ことを推奨していた。そのため、アメリカでは「低脂肪」だが「穀物を膨らませ、甘くした」スナック菓子が市場に氾濫することになった。しかし炭水化物の摂りすぎは体内脂肪に変化し、肝心の必要な脂肪酸は低脂肪食のせいで不足する一方となった。パンと肉のハンバーガー、フライド・ポテト、そしてコカコーラで1食1500カロリーという高カロリーだが栄養価に乏しいこれらの食品が、アメリカ人に肥満と糖尿をもたらすのは当然のことだった。 驚くべきことに、アメリカ農務省による最新のピラミッドは、日本で玄米正食や食養生などの伝統的食生活を推進している人たちの主張と非常に似ている。彼らはこの数十年間、精白された米や小麦を避けて全粒穀物を食べ、たんぱく質は大豆などの豆類、そして肉や乳製品や砂糖は摂らない方がいいと主張してきた。彼らの主張は、ファースト・フードやインスタント食品などのアメリカ式食事がファッションのようにあふれる現代日本では、今のところは少数派のように見える。しかし、その現代日本を通り越すような形で、アメリカ政府は「穀物菜食」の日本の伝統的食生活を、肥満と関連する病気で悩むアメリカ人に推奨することになったのだ。 ところで、アメリカ政府が肉や乳製品に含まれる飽和脂肪酸がコレステロール値を高め、心臓病の原因になるのでできるだけ食べないように、そして植物油を毎食摂ることを薦めているのは画期的なことではあるが、その植物油の内容に踏み込んでいないのが問題だ。植物油の多くは製造過程でヘキサンなどの触媒を利用したり、保存期限を延ばすために水素添加したりするため、食用油としては適さないものが多いことに注意しなければならない。また、ほとんどの植物油はリノール酸が多くて、アルファ・リノレン酸が少ないため、ガンや成人病の原因になることも忘れてはならない。リノール酸とアルファ・リノレン酸が理想的なバランスで含まれているのは麻の実油だけである。麻の実ナッツは肉や卵よりすぐれたたんぱく質を含んでいることはピラミッドが示すとおりである。しかしアメリカ政府は麻を弾圧しつづけ、カナダなどから麻の実の食品が流入してくることに対して非常に神経質になり、ときには異常なまでの禁止措置をとっている。アメリカは食糧としての麻を弾圧することにより、せっかく気付いた健康へのチャンスをなくしてしまうことになりかねない。アメリカの代表的な食べ物「ハンバーガー・フライドポテト・コカコーラ」セットには穀物産業・畜産産業・巨大資本コカコーラの戦略が陰で糸を引いているという説もある。 一方、日本は稲と麻の国である。玄米で炭水化物を、そして麻でたんぱく質と油を摂れば理想的な食事ができる。しかも麻は水と太陽さえあれば、ほとんど肥料なしで北海道から沖縄までいたるところに生える。いまや日本の食糧自給率は40%台、穀物にいたっては20%台となっている。ほとんどの先進諸国は完全に自給できる体制をとっているばかりか、アメリカなどは農業製品の輸出国である。しかし、日本政府はいまだに麻という植物を厳罰でもって規制している。稲作農業を壊滅状態におしやった日本政府には、本当に国と国民を守る気持ちがあるとは思えない。
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